紗里奈様と奴隷のやり取りを聞かされたせいか、それも声だけの世界・・
想像が果てしなく広がるのだった。
戻ってから数時間後。約束通り、紗里奈様からメールが来た。
そのメールにはマゾの穴に入る、新しいＩＤとパスが書かれていた。
そして、紗里奈様からのメッセージには・・
「マゾという性癖を持って生まれてきたからには、女性を崇拝し、服従し、お仕えする義務がお前にはあるのよ。それがお前の定めなのだから躊躇せず堕ちなさい」
もし、私が30代であれば、迷うことなく入会していただろう、しかし私は年を取り、多くを知りすぎている。
いままで数多くのＳ女性様にお仕えしたり、プレイしたり、お会いしてお話しを聞いたりした。
その中には拷問マニアや、サイコキラー予備軍というほどの不安定な精神の方もいた。
20代、30代のころは失神するまで鞭で打たれたり、血の出る事も耐えられていた。
会員361名の中には当然そのような方もおられるかもしれない、若いころならそれでも思い切ったであろうが、わたしももう老兵に近い、50代半ばである。
とりあえず、もらったＩＤでログインしてみる。
するといきなりプロフィール登録画面が出る・・・
この時点で個人情報を全て入力しないと先にはいけない。
この時点で私は個人情報を盾に脅してくる詐欺ではないという事は確信していた。
お金はかかるが、実際に活動しているサークルであることは間違いないと思っている。
ここで入力してしまえば、その情報はＳ女性会員361名に晒される事は間違いない。
その中にはイベントやオフ会で会っていて、私の事をKAZOWKだと知っている方もいるに違いない。
結果、紗里奈様にその事が伝わる・・
しかし、マゾヒストとしてこれほどのチャンスを逃してしまってよいのだろうか？
私の心はマゾの願望と不安の間で揺れていた。
その時、決心したのは、最初に見た映像・・２０歳くらいの女性の足下でパンイチで土下座して挨拶をする４０代の男・・蹴られて踏まれて、みじめに泣くその姿が頭から離れていかなかった。
想えば女性の足下に土下座したい・・これが私の原点だった。
それがいろいろな経験をさせてくれた。
見知らぬ女性に一から仕込まれてマゾ教育を受ける・・なんて素敵な事なんだろうか・・
結局わたしは詳しい個人情報を入力していた。
家族構成から、小学校からの卒業校、今までの職業、就職先、よく行く場所やお店まで、そして自撮り写真・・もちろん電話番号やメルアドも
これで全てが晒される・・・
最後のキーを押す指が震えていた。
これで知り合いの女性や近くに住んでいる女性が会員だったら・・・
知られたくないけど、知られたい・・そんな複雑な思いでマゾ心が疼く。
これを見た女性会員から電話やメールが来るのでは・・久しぶりに感じるワクワク感。
しかし、この後、1週間たっても音沙汰がなかった。
そういえば、提出させた後、嘘がないか調べると言っていた事を思い出した。
もしかして今調査しているのだろうか・・まさか騙されたのか・・
そんな不安な思いを抱いていた。
それから1週間後、紗里奈様から電話が・・・
「お前、わたしに嘘をついていたわね！」
キツイ口調だった。
